赤ちゃんを連れて温泉宿を探していると、必ず同じところで手が止まります。「おむつが取れていない子は大浴場に入れるのか」「離乳食はどうするのか」「夜泣きしたときに気兼ねなく過ごせるのか」。この3つが分からないまま予約するのは、なかなか勇気が要ります。
やっかいなのは、多くの宿がこの3点を公式サイトに書いていないことです。書いていないから電話で聞くしかなく、聞くのが面倒で候補から外れていく。結果として「赤ちゃん連れでも大丈夫そうな宿」が数えるほどしか残らない、ということが起きます。
岩手県花巻市の新鉛温泉にある「結びの宿 愛隣館」は、その点で珍しい宿です。公式サイトに子ども向けサービスの専用ページがあり、貸出品の一覧も、赤ちゃん向けプランに何が付くのかも、離乳食の中身まで文字で公開されています。予約前に判断できる材料が多い、ということです。
この記事では、公式サイトに書かれている内容を子連れ視点で整理します。あわせて、公式サイトを読んでも分からなかった項目もそのまま挙げます。温泉宿選びは「できること」より「書かれていないこと」を先に潰したほうが失敗しません。
なお、料金やサービス内容は改定されることがあります。予約前には必ず公式サイトでご確認ください。
この記事で分かること
- 赤ちゃん向けプランに付く特典(オムツ替え放題・離乳食・ロングステイ)の中身
- 無料で借りられるベビー用品の一覧と、有料になるもの
- 3つの大浴場・17の湯船の内訳と、浴場に置かれている赤ちゃん用の備品
- 貸切風呂「ちゃっぷん」の料金・時間・使いどころ
- 送迎バスの予約条件と、2026年9月からの料金変更
- 公式サイトに記載がなく、予約時に確認したほうがよい項目
まず前提:花巻温泉郷のいちばん奥、新鉛温泉にある一軒宿
公式サイトによると、住所は〒025-0252 岩手県花巻市鉛字西鉛23番地。予約センターの電話番号は0198-25-2619で、受付時間は9:00〜17:30とされています。
花巻温泉郷は、花巻市の西側、豊沢川に沿っていくつもの温泉地が点在するエリアの総称です。愛隣館があるのはそのうちの新鉛温泉。市街地から山側へ入った位置にあり、周囲にコンビニや飲食店が並んでいるような立地ではありません。子連れで動くなら、買い物は花巻市街で済ませてから向かうのが無難です。
この宿を理解するうえで大事なのは、規模の大きい温泉旅館だということです。公式サイトには「3つの自家源泉を、3つの大浴場 17の湯船でお楽しみください」と書かれています。湯船の数が多いということは、館内の移動距離も長くなるということでもあります。
表示は選んだ日程・人数での滞在合計(最安)です(税込・各社の表示基準)。 楽天トラベルは1泊ずつの最安を合計しているため、1つのプランで通して予約した場合の金額とは異なることがあります。 子どもの料金は年齢帯(未就学児は食事・布団の要不要、小学生は学年)で大きく変わるため、 上で選んだ内訳をもとに計算しています。Agoda は区分ごとの代表年齢で計算した目安です。 実際の年齢や宿・プランの扱いによって金額が変わることがあるため、最終的な金額はリンク先でご確認ください。 料金と空室はリンク先の表示が最新です。
赤ちゃん連れで見るべき5つのポイント
公式サイトのお子様サービスページに書かれている内容を、判断に効く順に並べ替えます。
① 赤ちゃん向けプランの特典は4つ
公式サイトによると、赤ちゃん連れ向けプランの基本特典は「オムツ替え放題」「離乳食サービス」「お得なお子様料金」「14時チェックイン、11時チェックアウトのロングステイ」の4つとされています。
子連れの旅で効くのは、実は4つめのロングステイです。通常の旅館は15時イン・10時アウトが多く、滞在時間は19時間ほど。14時イン・11時アウトなら21時間になります。差は2時間ですが、この2時間は昼寝の1サイクルにちょうど重なります。到着してすぐ寝かせる、朝ゆっくり支度する、という余裕が生まれる差です。
さらに公式サイトには、派生プランとして「貸切風呂付きプラン、おもちゃ貸出付きプラン、一升餅付きプラン、お食い初めプラン」があると記載されています。1歳の誕生日や100日祝いを旅先で、という使い方を想定した構成です。
② 離乳食は中身まで公開されている
公式サイトのお子様サービスページには、離乳食の基本メニューとして「おかゆ、寄せ豆腐、コーンスープ、南瓜、薩摩芋、ヨーグルト、すりおろしリンゴ」が挙げられています。
ここまで品目が書かれている宿は多くありません。中身が分かると、家から何を持っていくかを決められます。たとえばたんぱく質が寄せ豆腐だけなので、肉や魚に慣れている月齢なら1食分だけベビーフードを足す、といった調整ができます。逆に、離乳食初期でつぶしがゆ中心の時期なら、この構成で足りる可能性が高いということです。
ただし、対象月齢や提供の形(何回分か、どの食事に付くか)は公式のプランページ側の条件になります。月齢が低いほど食べられる形状が限られるので、そこは予約時に確認してください。
離乳食を宿に頼るか持参するかの考え方は、宿ごとの提供内容を見比べると決めやすくなります。月齢別に用意している宿の例は別記事にまとめています。

③ 貸出品は「持っていかなくていいもの」が多い
公式サイトに挙げられている貸出品は次のとおりです。
- ベビーチェア
- 洗面台用の踏み台
- お子様用の便座
- ベビーバス、ベビーシャンプー・ソープ
- ベビーカー
- 赤ちゃん用つめ切り・体温計
いずれも数に限りがあるとされ、予約時に申し付けるか、当日フロントへ連絡する形です。数に限りがある以上、当日申し出て確実に借りられる保証はありません。ベビーチェアのように「無いと食事が成立しない」ものは、予約の段階で押さえておくのが確実です。
注意したいのは、赤ちゃん用の布団が別扱いになっている点です。公式サイトによると「赤ちゃん専用お布団」は1,100円の有料で、プランによっては無料になるとされています。無料だと思い込んで当日追加すると、1,100円が上乗せされることになります。
なお、ベビーベッドの貸出については、確認したページに記載が見当たりませんでした。寝返りが始まったころの子を大人用の布団で寝かせるかどうかは、部屋のつくりにもよります。必要なら予約時に聞いておいてください。
④ 浴場に赤ちゃん用の備品が置いてある
公式サイトの温泉ページには、浴場の設備として「ベビーバス(湯温計)、ベビーチェア、ベビーバスマット、オムツ替え台」が挙げられています。
これは実務的にかなり大きい情報です。赤ちゃんを大浴場へ連れて行くとき、いちばん困るのは「洗っている間、どこに置くか」と「上がったあとどこで着替えさせるか」の2点だからです。ベビーチェアとバスマットがあれば前者、オムツ替え台があれば後者が解決します。この4点が浴場側に用意されている宿は、実際にはそれほど多くありません。
一方で、おむつが取れていない子が湯船に入ってよいかどうかについては、確認した範囲の公式ページに明記がありませんでした。備品が置いてあることと、浴槽に入れることは別のルールです。ここは宿によって判断が分かれるところなので、予約時に確認してください。
⑤ 館内に木のおもちゃのスペースがある
公式サイトには、木育広場「月ちゃん・花ちゃん」という子ども向けスペースが紹介されています。営業時間は7:30〜11:00と14:00〜21:00で、保護者同伴での利用をお願いします、とされています。
朝と午後夜に分かれた時間割で、チェックイン直後から夕食前、そして朝食後の出発前まで使える形です。雨や雪で外に出られない日ほど、この手のスペースの有無が滞在の快適さを左右します。対象年齢の明記は見当たらなかったので、まだ立てない月齢の子を遊ばせられるかは現地で判断することになります。
お風呂:3つの大浴場に17の湯船
公式サイトの温泉ページによると、湯船の内訳は次のとおりです。
| 浴場 | 公式サイトに書かれている内容 |
|---|---|
| 川の湯 | 内湯、腰掛湯(水深90cm)、岩露天風呂、信楽陶器風呂2つ |
| 山の湯 | 内湯(熱湯・ぬる湯など4つの浴槽)、立湯露天風呂「満天の湯・星」、岩露天風呂、檜風呂、サウナ・水風呂 |
| 森の湯 | 内湯、シルクバス「美白の湯」、立湯露天風呂「満天の湯・月」、信楽陶器風呂2つ、サウナ・水風呂 |
源泉は「新鉛温泉(第一黄金の湯)」「新鉛温泉(新黄金の湯)」と記載されています。
子連れの視点で見ると、注目したいのは「山の湯」に温度違いの浴槽が4つあることと、「川の湯」の腰掛湯です。小さい子は熱い湯に長く入れません。ぬる湯があるかどうかで、親が交代でさっと入るのか、子どもと一緒にゆっくり入れるのかが変わります。腰掛湯は水深90cmと明記されているので、立って入る深さだと分かります。子どもを座らせて足だけ、という使い方には向きません。
逆に、湯船が多いことは子連れではデメリットにもなります。全部回ろうとすると滞在時間が足りず、移動のたびに着替えが発生するからです。17という数字は「選べる」のであって「全部入る」ためのものではない、と考えたほうが現実的です。
貸切風呂「ちゃっぷん」は45分単位
公式サイトによると、貸切風呂「ちゃっぷん」の条件は次のとおりです。
- 料金:平日2,200円/土日祝2,750円
- 時間:1回45分
- 宿泊者の利用時間:7:00〜22:00(最終21:00スタート)
大浴場のルールが読めない月齢の子を連れて行くなら、貸切風呂を1回押さえておくのがいちばん確実です。2,200円は決して安くありませんが、「入れるかどうか気にしながら大浴場へ行き、結局入れず部屋のシャワーで済ませる」という結末を避けられます。
朝7時から使えるのも子連れ向きです。夕方は子どもの機嫌が読めませんが、朝はたいてい機嫌がよく、その後に朝食という流れも組みやすくなります。
アクセス:送迎バスは予約制。2026年9月から有料に
公式サイトのアクセスページに書かれている内容を整理します。
| 手段 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| 車 | 東北自動車道 花巻南インターチェンジから約20分 |
| 新幹線 | 東北新幹線 新花巻駅が最寄り |
| 在来線 | 東北本線 花巻駅が最寄り |
| 送迎バス | 新花巻駅・花巻駅から運行。3日前までの要予約 |
| 駐車場 | 200台の無料駐車場。EV充電スタンド1台 |
送迎バスについては、料金の扱いが変わる点に注意が必要です。公式サイトには、2026年9月1日より片道100円/人(3歳以上、2歳以下は無料)となる旨が記載されています。金額そのものは小さいものの、「無料送迎」という前提で計画していると当日に説明を受けることになります。
より重要なのは3日前までの予約制という条件です。直前に「電車で行こう」と切り替えると、送迎に乗れない可能性があります。ベビーカーと荷物を抱えて路線バスやタクシーを探す事態を避けるため、交通手段は早めに確定させておくのが安全です。
予約前に確認しておきたいこと
公式サイトを読んでも判断できなかった項目を挙げます。ここが埋まれば、子連れで泊まれるかどうかはほぼ確定します。
- おむつが取れていない子が大浴場の浴槽に入れるか(浴場の備品とは別のルール)
- ベビーベッドの貸出があるか、部屋のタイプによって変わるか
- 離乳食サービスの対象月齢と、何回の食事に付くか
- 年齢ごとの子ども料金(公式サイトではプランごとの条件として案内されています)
- 食事の場所が部屋食か会場食か(プランによって変わります)
- 木育広場の対象年齢
電話で聞くなら、予約センターの受付時間は9:00〜17:30とされています。まとめて一度に聞くほうが早く、聞いた内容はメモに残しておくと当日の交渉が楽になります。
よくある質問
Q. 赤ちゃん向けのプランには何が付きますか?
公式サイトによると、基本特典は「オムツ替え放題」「離乳食サービス」「お得なお子様料金」「14時チェックイン、11時チェックアウトのロングステイ」の4つです。さらに貸切風呂付き、おもちゃ貸出付き、一升餅付き、お食い初めなどの派生プランが用意されているとされています。
Q. 離乳食は用意してもらえますか?
公式サイトに離乳食サービスの記載があり、基本メニューは「おかゆ、寄せ豆腐、コーンスープ、南瓜、薩摩芋、ヨーグルト、すりおろしリンゴ」とされています。対象月齢や提供回数はプランの条件になるため、予約時に確認してください。
Q. ベビー用品は借りられますか?
公式サイトには、ベビーチェア、洗面台用の踏み台、お子様用の便座、ベビーバス、ベビーシャンプー・ソープ、ベビーカー、赤ちゃん用つめ切り・体温計が挙げられています。いずれも数に限りがあるとされ、予約時の申し出か当日フロントへの連絡が必要です。
Q. 赤ちゃんの布団は無料ですか?
公式サイトによると「赤ちゃん専用お布団」は1,100円で、プランによっては無料になるとされています。予約するプランに含まれているかどうかを先に確認してください。
Q. おむつが取れていない子も大浴場に入れますか?
確認した公式ページには、浴槽に入れるかどうかの明記が見当たりませんでした。浴場にベビーバス(湯温計付き)、ベビーチェア、ベビーバスマット、オムツ替え台が用意されているとの記載はありますが、備品の有無と入浴ルールは別です。予約時に直接確認するのが確実です。
Q. 貸切風呂はありますか?
あります。公式サイトによると貸切風呂「ちゃっぷん」は1回45分で、料金は平日2,200円、土日祝2,750円。宿泊者は7:00〜22:00(最終受付21:00スタート)に利用できるとされています。
Q. 駅からの送迎はありますか?
公式サイトによると、新花巻駅・花巻駅から送迎バスが運行しており、3日前までの予約が必要です。2026年9月1日より片道100円/人(3歳以上、2歳以下は無料)になると記載されています。
Q. 館内に子どもが遊べる場所はありますか?
木育広場「月ちゃん・花ちゃん」があります。公式サイトによると営業時間は7:30〜11:00と14:00〜21:00で、保護者同伴での利用が求められています。対象年齢の記載は見当たりませんでした。
まとめ:情報が公開されている宿は、それだけで選びやすい
- 赤ちゃん向けプランの特典は「オムツ替え放題・離乳食・お子様料金・14時イン/11時アウト」の4つ
- ベビー用品は7種類が貸出。ただし赤ちゃん用布団は1,100円(プランにより無料)
- 3つの大浴場に17の湯船。温度違いの浴槽があり、浴場に赤ちゃん用備品4点
- 貸切風呂は45分2,200円(土日祝2,750円)。朝7時から利用可
- 送迎バスは3日前までの予約制。2026年9月1日から片道100円
- 大浴場のおむつルールと子ども料金は、予約時の確認が必要
この宿の特徴は、設備の豪華さよりも「子連れで必要になる情報が文字で公開されていること」にあります。離乳食のメニューまで書いてある宿はまれで、そのおかげで持ち物を減らせるか増やすべきかを出発前に判断できます。
一方で、湯船が17もあることは子連れにとって必ずしも有利には働きません。移動と着替えの回数が増えるからです。「たくさん入れる宿」ではなく「ぬる湯と貸切風呂がある宿」として見たほうが、実際の使い方に近いはずです。
そのうえで、おむつが取れていない子の大浴場利用だけは公式サイトからは読み取れませんでした。ここは月齢によって旅程そのものが変わる項目なので、予約前に必ず押さえておいてください。
料金・設備は改定されることがあるため、予約前には必ず公式サイトと施設への直接確認をお願いします。
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湯船の数が多く、脱衣所に赤ちゃん向けの備品を置いている温泉宿という点では、伊香保温泉の福一も考え方が近い宿です。貸切風呂の種類と予約条件を比べると、どちらが自分の家族の動きに合うか見えてきます。

離乳食を月齢別に用意している宿の例も知っておくと、「離乳食サービスあり」という表記の中身を見分けやすくなります。

参考文献
※ 公式サイトの記載内容は2026年8月12日時点で確認したものです。
